同棲でも年末調整で控除は受けられる?続柄の書き方から扶養・修正まで完全ガイド【2025年版】

「同棲してるけど、年末調整で配偶者控除って受けられるの……?」
そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

同棲していると、年末調整の書類を見て「配偶者」や「扶養」という言葉に戸惑うことがあるかもしれません。
実は、婚姻届を提出していない同棲の場合、税法上の扱いが結婚とは大きく異なるため、注意が必要なんです。

この記事では、同棲中の年末調整で押さえておきたい控除の基本知識から、世帯主や続柄の正しい書き方、さらには書類を間違えたときの修正方法まで詳しくお伝えしていきます。
2025年の最新改正内容にも対応していますので、安心して年末調整の準備を進めていきましょう!

同棲でも年末調整で控除は受けられる?基本の3控除をわかりやすく

まずは、年末調整で関係する主な控除について、同棲中の方に向けて基本から説明していきます。

同棲相手は「民法上の配偶者」ではないため控除対象外

年末調整において最も重要なポイントがこちらです。

結論からお伝えすると、同棲しているパートナーは配偶者控除や配偶者特別控除の対象にはなりません。
なぜなら、所得税法で定める「配偶者」とは、民法に規定される配偶者、つまり婚姻届を提出した法律上の夫婦のことを指すからです。

いくら家族手当が支給されていても、事実婚や内縁関係の場合は配偶者とは認められないんですね。
この点は国税庁の基本通達でも明確に示されており、税務上では婚姻届の有無が決定的な判断基準となっています。

年末調整で関係する主な控除は「配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除」

年末調整で家族に関連する控除には、主に以下の3種類があります。

配偶者控除は、配偶者の年間所得が一定額以下の場合に受けられる控除。
配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の対象を超えた場合でも段階的に適用される控除です。

そして扶養控除は、生計を一にする16歳以上の親族を扶養している場合に受けられる控除となっています。
それぞれの控除には所得要件や年齢要件が定められており、2025年の改正で一部の金額が変更されましたので注意が必要です。

「生計を一にする」とは?税務上の扶養条件の考え方

税務で頻繁に登場する「生計を一にする」という言葉について解説していきます。

「生計を一にする」とは、簡単に言えば同じ財布で生活しているかどうかということ。
同居しているかどうかは必ずしも条件ではなく、生活費を共通の資金から出しているかが重要なポイントになります。

たとえば、単身赴任中の家族に生活費を送金している場合や、大学生の子どもに仕送りをしている場合も「生計を一にする」に該当するんです。
逆に、同じ家に住んでいても、完全に家計を分けてお互いに経済的援助がない場合は「生計を一にする」とは認められません。

誤解されやすい「同棲でも家族扱いになる」ケースを整理

同棲していると「同じ家に住んでいるから扶養に入れるのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、扶養控除の対象となる親族は、配偶者を除いた「6親等内の血族」および「3親等内の姻族」に限定されています。
つまり、血縁関係や婚姻関係のない同棲相手は、たとえ生計を共にしていても扶養親族にはなれないということ。

事実婚の配偶者についても、健康保険の扶養には入れる場合がありますが、税法上の配偶者控除や扶養控除の対象にはならないので混同しないようにしましょう。
税金と社会保険では制度が異なる点に注意が必要です!

2025年版|年末調整の主要変更点と同棲への影響ポイント

2025年の年末調整には大きな変更があります。
ここでは、同棲している方にも影響する改正ポイントをわかりやすく説明していきます。

基礎控除・給与所得控除・配偶者控除の最新金額(2025年対応)

2025年の税制改正により、所得税の基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。

基礎控除については、合計所得金額132万円以下の場合、95万円に引き上げ。
132万円を超える中間所得層には、令和7年・8年の2年間限定で段階的な上乗せ控除が適用されます。

給与所得控除の最低保障額は、55万円から65万円に引き上げられました。
この改正により、いわゆる「103万円の壁」が「160万円の壁」に引き上げられることになり、年収160万円まで所得税がかからなくなったんです。

「判定日は12月31日」―年末時点の状況が基準になる理由

年末調整における各種控除の判定は、その年の12月31日時点の状況で行われます。

これは非常に重要なポイントで、たとえば12月30日に結婚した場合、その年は配偶者控除の対象となる可能性があるということ。
逆に、年内に扶養親族が独立して就職した場合、その年の扶養控除は受けられなくなります。

同棲中の方が年内に入籍する予定がある場合、12月31日までに婚姻届を提出すれば、その年の年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができますよ。
提出のタイミングによって税額が変わることもあるため、計画的に考えておくことをおすすめします!

改正で変わった申告書の様式と提出スケジュール

2025年の改正に伴い、年末調整の申告書様式も変更されています。

新たに「給与所得者の特定親族特別控除申告書」が追加され、既存の基礎控除申告書などと兼用様式になりました。
提出期限は原則として令和7年12月1日以後最初に給与支払を受ける日の前日ですが、年末調整を行う時までに提出があれば対応可能です。

扶養控除等(異動)申告書についても、令和7年12月1日以降の変更がある場合は「異動月日及び事由」欄に「令和7年12月1日 改正」などと記載する必要があります。
会社から配布される書類の様式が変わっていても驚かないでくださいね。

同棲カップルが注意すべき「収入ライン」と「合計所得金額」

同棲中で将来的に結婚を考えている方は、お互いの収入ラインを把握しておくことが大切です。

扶養親族および同一生計配偶者の合計所得金額の要件は、改正前の48万円以下から58万円以下に変更されました。
給与収入だけの場合、年収103万円以下だったものが年収123万円以下に変わっています。

また、特定親族特別控除の新設により、19歳以上23歳未満の親族については、合計所得金額58万円超123万円以下(給与収入換算で123万円超188万円以下)でも控除を受けられるようになりました。
同棲相手には適用されませんが、扶養している弟妹や子どもがいる場合は活用できる可能性がありますよ!

同棲中の”世帯主&続柄”の書き方と会社提出書類の実例

ここからは、同棲中の方が特に悩みやすい「世帯主」と「続柄」の書き方について、具体的に説明していきます。

「世帯主」はどちらにする?住民票の有無で変わる考え方

年末調整の書類に記入する世帯主は、住民票に登録されている世帯主のことを指します。

同棲の場合、世帯主の設定には大きく分けて3つのパターンがあるんです。
1つ目は、それぞれを世帯主として別々の世帯にする方法。2つ目は、どちらか一方を世帯主として同じ世帯にする方法。3つ目は、住民票を移していない場合です。

一般的には、同棲の場合それぞれを世帯主とするケースが多いと言えます。
住民票を移していない場合は、元の住所での世帯主(多くの場合は父または母)を記載することになるので注意しましょう。

「続柄」欄の正しい記入例:同居人・夫(未届)・妻(未届)など

続柄の欄は、年末調整の申告者(あなた)から見た世帯主との関係性を記入します。

自分が世帯主の場合は「本人」と記入すればOK。
同棲相手が世帯主の場合、関係性によって書き方が変わってきます。

まだ同棲して間もない彼氏・彼女の関係であれば「同居人」と記載するのが一般的です。
事実婚や内縁関係として認識している場合は「夫(未届)」または「妻(未届)」と記入することもできます。

誤って「配偶者」と書いたときの影響と修正方法

もし続柄を誤って「配偶者」や「夫」「妻」と書いてしまった場合、どうなるのでしょうか。

実は、続柄だけで控除の可否が決まるわけではありません。
配偶者控除や扶養控除は、年齢や収入、生計を共にしているかなどの条件で判断されるため、続柄を間違えても直接的な影響は少ないんです。

ただし、正確な情報を記載することが望ましいため、気になる場合は修正しておきましょう。
訂正方法は、誤った箇所に二重線を引き、その近くに正しい内容を記入するだけ。修正液や修正テープは使用できないので注意してくださいね!

提出時に添付書類は必要?住民票やマイナンバーの扱い

年末調整の際、基本的に住民票の添付は必要ありません。

ただし、扶養控除等(異動)申告書には、扶養親族のマイナンバー(個人番号)を記入する欄があります。
すでに会社に提出済みのマイナンバーと変更がない場合は省略できることもあるため、会社の指示に従ってください。

国外居住親族を扶養する場合など、特殊なケースでは親族関係書類や送金関係書類の添付が必要になることがあります。
同棲中で特別な事情がなければ、通常は申告書の記入だけで問題ありませんよ。

税法上の”扶養”と”配偶者控除”の違い ― 同棲相手は対象になる?

ここでは、混同しやすい「扶養」と「配偶者」の違いについて、詳しく見ていきます。

「税法上の扶養親族」とは?対象になるのは親族のみ

税法上の扶養親族には、厳密な定義があります。

控除対象扶養親族となるためには、その年の12月31日時点で以下の条件をすべて満たす必要があるんです。
配偶者以外の親族であること、納税者と生計を一にしていること、年間の合計所得金額が58万円以下であること、青色申告者や白色申告者の事業専従者でないこと。

ここで重要なのが「配偶者以外の親族」という条件。
親族とは、6親等内の血族および3親等内の姻族を指すため、血縁関係や婚姻関係のない同棲相手は該当しないということになります。

同棲相手を扶養に入れられない理由(国税庁の定義)

なぜ同棲相手は扶養に入れられないのか、その理由を整理していきましょう。

所得税法における「親族」の定義は民法に基づいており、血族、配偶者、姻族に限定されています。
たとえ同じ家に住んでいて生活費を共有していても、法律上の親族関係がなければ扶養親族とは認められないんですね。

ルームシェアをしている友人同士なども同様に、税法上の「生計を一にする」親族には該当しません。
扶養控除を受けるには、まず法律上の親族関係が前提となることを覚えておきましょう。

健康保険の扶養は別制度!税金と社保の違いを図で理解

ここで注意したいのが、健康保険の扶養と税法上の扶養は別物だということ。

健康保険では、事実婚の配偶者や内縁の妻・夫を被扶養者として認めるケースがあります。
これは社会保険の制度が税法とは異なる基準で運用されているためです。

つまり、健康保険の扶養に入れたからといって、年末調整で配偶者控除や扶養控除を受けられるわけではないんですね。
税金は国税庁、健康保険は加入している保険組合と、それぞれ管轄が異なることも覚えておくと良いでしょう。

事実婚・婚姻届未提出のケースでの例外扱いとは?

事実婚の場合、税法上で例外的な扱いを受けることはあるのでしょうか。

残念ながら、所得税法では事実婚や内縁関係に対する例外規定はありません。
配偶者控除や配偶者特別控除は、あくまで民法上の配偶者、つまり婚姻届を提出した法律上の夫婦にのみ適用されます。

ただし、寡婦控除やひとり親控除を判定する際には「事実婚と認められる一定の人がいる場合」は対象外となるという規定があり、ここでは事実婚が考慮されています。
このように、制度によって事実婚の扱いが異なる点には注意が必要です。

よくあるケース別FAQ20選|無収入・学生・仕送り・住民票が別のとき

ここからは、同棲中の年末調整でよくある疑問について、具体的なケース別にお答えしていきます。

「同棲相手が無職」の場合は扶養に入れる?

同棲相手が無職で収入がない場合でも、扶養に入れることはできません。

前述のとおり、扶養親族となるには親族関係が必要だからです。
婚姻届を提出していない同棲の段階では、相手に収入がなくても配偶者控除や扶養控除の対象にはならないんですね。

ただし、入籍すれば配偶者控除の対象となる可能性があります。
配偶者の年間合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円以下)であれば、配偶者控除を受けられますよ!

「学生・パート・フリーター」の場合の扱い

同棲相手が学生やパート、フリーターの場合も、基本的な考え方は同じです。

婚姻届を提出していない限り、配偶者控除や扶養控除の対象にはなりません。
相手がアルバイトで年収103万円以下であっても、同棲中は税法上のメリットを受けることはできないということ。

入籍後であれば、配偶者の収入が一定額以下の場合に配偶者控除や配偶者特別控除を受けられます。
勤労学生控除は本人が申請するものなので、同棲相手の控除には関係ありません。

「住民票を移していない」場合の書き方は?

同棲を始めても住民票を移していない方は意外と多いかもしれません。

住民票を移していない場合、年末調整の世帯主欄には現在の住民票上の世帯主を記入します。
実家から同棲先に引っ越したが住民票を移していない場合は、実家の世帯主(多くの場合は父または母)を記載しましょう。

元々一人暮らしをしていて住民票を移さずに同棲を始めた場合は、前の住所での世帯主(本人)を記入します。
ただし、引っ越しから14日以内に住民票を移すことは法律で定められているため、速やかに手続きを行うことをおすすめします。

「親の扶養」と「同棲」は両立できる?

同棲していても、親の扶養に入ることは可能です。

扶養親族の判定は、年齢や所得、生計を一にしているかどうかで決まります。
同棲していても、親から仕送りを受けている場合や、年末年始などに実家で過ごす習慣がある場合は「生計を一にする」と認められる可能性があるんです。

ただし、年間の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円以下)である必要があります。
扶養に入れるかどうかは個別の状況によって異なるため、不明な点は税務署や会社の担当者に相談してみましょう。

「途中で同棲を始めた」場合の判定は?

年の途中から同棲を始めた場合、年末調整への影響を気にする方もいるでしょう。

年末調整の判定基準日は12月31日なので、年の途中で同棲を始めたこと自体は特に影響しません。
重要なのは、12月31日時点で婚姻届を提出しているかどうかということ。

同棲を開始した時期に関わらず、年内に入籍すればその年の年末調整で配偶者控除を受けられます。
逆に、同棲期間が長くても婚姻届を提出していなければ、配偶者控除の対象にはならないんですね。

「中途退職・転職」で年末調整を2社で行うとき

年の途中で転職した場合、年末調整はどうなるのでしょうか。

年末調整は、12月31日時点で在籍している会社で行うのが原則です。
転職した場合は、前職の源泉徴収票を現在の会社に提出して、年間の給与を合算して年末調整を行います。

前職の源泉徴収票を年末調整に間に合うように提出できなかった場合は、自分で確定申告をする必要があるので注意しましょう。
同棲中であっても転職時の手続きは同じですが、扶養控除等申告書の世帯主欄などは最新の情報を記入してくださいね。

「仕送りしている親」を扶養に入れるときの条件

同棲中でも、別居している親に仕送りをしている場合は扶養控除を受けられる可能性があります。

別居の親を扶養親族とするには、以下の条件を満たす必要があるんです。
親族であること、生計を一にしていること、年間の合計所得金額が58万円以下であること、青色申告者や白色申告者の事業専従者でないこと。

「生計を一にする」については、定期的に生活費を送金している場合は該当すると認められます。
送金の事実を証明できるよう、振込記録などを保管しておくと安心ですよ!

「年末調整を出し忘れた」「間違えた」ときの対処

年末調整の書類を提出し忘れた場合や、間違いに気づいた場合はどうすればよいのでしょうか。

源泉徴収票が発行される前であれば、会社での修正が可能です。
すぐに会社の担当者に連絡して、修正または再提出の手続きをしましょう。

源泉徴収票が発行された後や、会社での修正期限を過ぎた場合は、自分で確定申告をすることになります。
確定申告の期間は翌年2月16日から3月15日まで。還付申告の場合は翌年1月1日から5年間いつでも申告できますよ。

読んだ後に知りたくなる!年末調整後の”修正・確定申告”と関連手続き

年末調整が終わった後に、修正が必要になるケースもあります。
ここでは、そうした場合の対処法を説明していきましょう。

年末調整で申告ミスした場合の修正手順(確定申告)

年末調整で申告ミスをしてしまった場合、確定申告で訂正することができます。

税金を多く支払ってしまった場合は「還付申告」を行います。
これは翌年1月1日から5年間いつでも申告可能なので、慌てる必要はありません。

逆に、税金を少なく支払っていた場合は、通常の確定申告期間(翌年2月16日から3月15日まで)に申告して追加納税をします。
確定申告書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできますし、e-Taxを使えばオンラインで手続きも可能ですよ。

1月以降でも間に合う”還付申告”のやり方

控除を申告し忘れたことに気づいたら、還付申告を検討してみましょう。

還付申告は、払いすぎた税金を返してもらうための手続きです。
生命保険料控除や地震保険料控除を申告し忘れた場合など、年末調整で申告できなかった所得控除がある場合に行います。

申告に必要なのは、源泉徴収票と各種控除証明書、そして確定申告書。
税務署の窓口で相談しながら作成することもできますし、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば自宅で簡単に作成できますよ!

同棲・結婚のタイミングで必要になるその他の手続き一覧(住民票・保険・氏名変更など)

最後に、同棲から結婚に進む際に必要な手続きをまとめてお伝えします。

結婚が決まったら、まず婚姻届の提出が必要です。
その後、住民票の移動手続きを行い、新しい住所と世帯の情報を登録します。

年金や健康保険の手続きも忘れずに行いましょう。
配偶者を健康保険の扶養に入れる場合は、会社に必要書類を提出します。年金については、第3号被保険者への切り替えが必要な場合もあるんです。

そのほか、銀行口座やクレジットカードの氏名変更、免許証の住所・氏名変更なども必要になります。
手続きが多くて大変ですが、ひとつずつ確実に進めていきましょう!

まとめ

同棲中の年末調整について、基本的な知識から具体的な書き方までお伝えしてきました。

最も重要なポイントは、婚姻届を提出していない同棲の段階では、配偶者控除や扶養控除を受けることができないということ。
同じ家に住んでいても、税法上は法律上の婚姻関係や親族関係がなければ控除の対象にはならないんですね。

ただし、入籍すれば配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる可能性があります。
判定基準日は12月31日なので、年内に婚姻届を提出すればその年の年末調整から適用されますよ。

年末調整の書類で悩んだときは、無理に自己判断せず、会社の担当者や税務署に相談してみることをおすすめします。
正確な申告で、適切な控除を受けていきましょう!

 

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